子供へのオステオパシーⅡ

 昨年に引き続き8月1日~8月5日まで、アメリカの ジュリー・メイ 医師(オステオパシー医師)の小児に対するオステオパシーセミナーを受講して来ました。


子供たちへのオステオパシーに生涯を捧げられた“ヴィオラ・フライマン医師”の意志を継ぐ人物です。


セミナー中に、4人の子供さん達へのオステオパシーを披露されました(アメリカ人3名、日本人1名。幼児〜小学生)。


足首から始まり、全身を決まった手順に従って施術をされます。小さな子供さんの場合は、じっとしていなかったり歩き回ったりするので、動きに合わせながらも素早く構造上の問題に対処していかれます。


昨年も感じたのですが、頭へ働きかける施術が多くの割合を占めていました。


頭は22個の骨によって形成されており、それぞれの骨が隣り合う部分は“縫合“と呼ばれています。


縫合の部分は、大人になっても癒合することはなく僅かな可動性があるとオステオパシーでは考えられています。


体には呼吸とは別に“膨張と収縮“を繰り返す全身性の呼吸(オステオパシーでは「第1次呼吸メカニズム」と呼びます)がありますので、頭の縫合部が硬くなって可動性が低下していれば、脳脊髄液と血液の流れや、脳の膨張と収縮の動きを阻害する事になります。


縫合は口の奥にもありますので、今回も全ての子供さん達に口の中へも施術されました。


オステオパシーの施術は非常に繊細で優しい事もあり、今回途中で泣きだす子供達はいませんでした。



子供へのオステオパシーが重要だと痛感したのは、私の小学3年生の長男がフィリップ・ドゥリュエル先生(下の写真左)の施術を受け時でした。


長男には、爪先立ちや軽度の学習障害がありました。頭の骨がとにかく硬く、頭の中へ働きかける施術が難しい状態でした。

ドゥリュエル先生は、「これはフライマン先生が“岩の頭“と呼んでいたの状態ですね」と言われ、私を含む4人の手を使って頭の奥の縫合に働きかけを行いました。

詳しく説明しますと、後頭骨と蝶形骨が結合している蝶形後頭底結合という頭の中心の最も重要な部分が圧縮されていて頭全体が固まっていました。

施術後に頭の膨張と収縮の動きが徐々に大きくなり、それまでの岩の様な印象は翌日にはなくなっていました。

その後最も驚いたのは新学期が始まると、書けなかった作文が突然書けるようになっていた事でした。それまでは一文も文章が書けませんでしたし、文章を読む事も困難でした。

蝶形骨と後頭骨の結合部の圧縮やねじれで生じる問題については、海外でも沢山の報告があるようです。オステオパシーでは8つのパターンの状態に分類して、結合部の機能を調整します。

脳にも膨張と収縮の動きはありますので、脳を収める容器である頭がい骨の動きに制限があると脳の動きも制限されて、機能的な問題が生じる可能性があるということになります。

子供たちは、我々より先の未来を生きていかなければなりません。オステオパシーには子供たちの未来を明るくする可能性が大いにあると信じています。


フィリップ・ドゥリュエルD.O.(左)と

ヴィオラ・フライマンD.O.(右)