手から手へ

前回の「子どもへのオステオパシー」の続きになります。

 

フライマン先生の意志を受け継ぐ、アメリカ人のジュリー・メイ医師(Doctor of Osteopathy)が来日され、子ども達へのオステオパシーについての授業をされました。

 

授業の内容は、「座学と実技」、「感覚の伝承」、「3人の子供たちへの治療(日本在住のアメリカ人の元患者さん)」でした。

 

オステオパシーでは、体の表面だけではなく、体の奥がどういう状態になっているのかを識別できなければなりません。


更に、フライマン先生は臨床において物質的なものだけはなく、生命の根幹に関わるものを対象に施術をされていたであろうと予測されます。


そうでないと、先天的な疾患(ダウン症、脳性麻痺など)に対して変化を及ぼすことは出来なかったと思います。


フライマン先生は日々の臨床において、何一つ特別な事はされず、オステオパシー界ではごく一般的なテクニックを効果的に用いて、もの凄い変化を起こされていたそうです。

 

上の写真は、先人達の手から手へと受け継がれてきたものを受け取っている場面です。微妙な圧の調整に意識を加えることで、単に触れるだけでではなく、様々なものを感じる手にする変化させることが可能になります。

 

メイ先生は、アメリカでも珍しく手技療法と自然療法だけで患者さんの治療をされているオステオパシー医師です。他のオステオパシー医師が、投薬や手術を併用する中で、ひたすら手技療法を大切にしてこられました。そして、授業や実際の治療において、生命に宿る限界のない可能性と、臨床で患者さんにどのような姿勢で向き合うべきかということを私たちに示してくださいました。

 

フライマン先生は、非常に厳格な人物で、気軽に話ができるような方ではなかったという噂を聞きます。そのフライマン先生が93歳で臨床を退かれるまでの晩年の10年間を、メイ先生と同じ診療室の中で共に過ごすことを選択された理由がよく解りました。


オステオパシーは手だけで行うべきものではないことを再認識できましたし、先人達が後世に伝承しようとしていたものを心で理解できました。